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おすすめ図書 2018年

12月

脳のなかの天使

脳のなかの天使

V・S・ラマチャンドラン著/ 山下篤子/訳  角川書店

あなたには0から9までの数字を見たときに、色がついているようにみえるだろうか。
 神経科学者である著者が、前作「脳のなかの幽霊」の中でなくなった体の部分がまだあるような感覚“幻肢”について立てた仮説にもとづき、本作では数字などに色がついて見える感覚、共感覚といった症例をみていく。
 脳細胞同士は常に競合し、自らの領域を拡大しようとしている。浸食された領域は感覚に異常をきたす。それが“幻肢”である。共感覚もまた脳細胞の競合から起こる。
 また、ミラーニューロンという他人の体験を自らのものとする脳のネットワークや、環境から美を抽出する機能などなど、誰でも持っているはずだが、不思議なふるまいをする意識や心というものについて、謎解きを楽しむように熱中させてくれる一冊である。(今川図書館作成)
 

11月

小澤征爾さんと、音楽について話をする

小澤征爾さんと、音楽について話をする

小澤 征爾/著、村上 春樹/著  新潮社

およそ60年前、日本からヨーロッパに渡り、アジア人で初めて世界で活躍する指揮者となって多忙を極めた小澤征爾氏が、2009年大病のため休養することになった。手術を経て復帰するのだが、療養とリハビリの日々に村上春樹氏と少しずつ音楽の話をするようになったという。そこで音楽愛好家である村上氏の「小澤氏に音楽について聞きたい、お話したい」という願望を実現させた本である。
小澤氏は、カラヤンとバーンスタインのもとで勉強していた頃の話、有名な音楽家とのエピソードの数々、音楽の取り組み方などを語っている。現在は若い演奏者の指導もしているが、そこで若者の音楽から刺激を受け自分の音楽は「まだまだだ」と感じるのだそうだ。80歳を超えるマエストロだが、これからはどのような音楽を聴かせてくれるのか楽しみである。さらに情熱的で純粋になっていくのだろう。(中央図書館作成)

10月

私の夢まで、会いに来てくれた  3・11亡き人とのそれから

私の夢まで、会いに来てくれた  3・11亡き人とのそれから

東北学院大学震災の記録プロジェクト金菱清(ゼミナール)編  朝日新聞出版

社会学者金菱清とそのゼミ生は、東日本大震災直後より被災地に赴き調査を続けている。71人もの体験記を収集した『慟哭の記録』(2012年2月発行)から数えて5作目にあたる本作は、「遺族が見る亡き人の夢」をテーマに取材された。
受け入れられない現実を目の前に、夢であってくれたらとどんなに願ったことだろう。大切な人を助けることの出来なかった後悔の念や、夢の中で再会できた安堵感、目覚めたときの喪失感。淡々と過ぎゆく日々の中で、孤独に向き合ってきた遺族の思いが、27編の「夢」を通して明かされる。当時、中高生であったであろう学生たちは取材を通して何を感じたのだろうか。
復興・希望・絆など未来志向の言葉で語られることの多い被災地で、誰もが過去を振り返り、振り払いながら暮らしてきたことを痛感させられる。人の強さと弱さ、尊さを教えてくれる1冊。亡き人と再会できる「夢」の中で、あなたならどんな話をしたいですか。
(方南図書館作成)


9月

チーム・ブライアン

チーム・ブライアン

ブライアン・オーサー/著 樋口 豊/監修 野口 美恵/訳  講談社

フィギュアスケート界の名コーチ、ブライアン・オーサーは、カナダのトロントにある名門『クリケットクラブ』で、単独のコーチとしては活動せず、多くのコーチを集めて『チーム・ブライアン』を結成している。
複数のコーチが、ジャンプやスピン、基礎スケーティングなど専門の担当を持ち、選手たちに精神面からも寄り添う指導法だ。
戦略としては、高得点が出る演技とは何かを追求し、ジャッジや国際スケート連盟の役員へ徹底的にヒアリングするなど情報戦を行い、マスメディアとも上手に付き合って選手たちの負担を軽減することに成功している。
科学的なアプローチから、それぞれに最適な練習法、最適な環境を目指している。
羽生結弦、ハビエル・フェルナンデスを始め、他の選手たちがソチオリンピックを終えるまでを、指導者側から見たフィギュアスケートの世界を味わえる一冊。(高井戸図書館作成)

8月

ろくろ首の首はなぜ伸びるのか 遊ぶ生物学への招待

ろくろ首の首はなぜ伸びるのか 遊ぶ生物学への招待

武村政春/著  新潮社

妖怪「ろくろ首」の首はどのような構造をしているのでしょうか。この難問を生物学の観点から解き明かそうとしたのが本書です。ただし、教養書を装った生物学ジョークとなっていますのでお気を付けください。
本書は「ろくろ首」の他にも、障子に目が浮き出る妖怪「目目連(もくもくれん)」、ヒトとサカナが合体した「人魚」、某映画の有名な食べた生物の声を出せる「カオナシ」等、16の妖怪・空想生物を取り上げています。想像上の生物がいかに存在できるのかを、現実の生物学をもって成り立たせるところが醍醐味です。奇抜で大胆な説に驚きながらも、「なるほどそうなっているのか」と感心したり、「いやいやなんか変だな」と疑ってみたり、楽しみながら読むことができます。まじめな生物学とふしぎな空想生物、両者をかけあわせた思考実験を味わえます。
一押しは、「吸血鬼」が日光にあたると灰になるメカニズムです。斬新な発想に驚き、「吸血鬼」のイメージが覆されること間違いなしです。(下井草図書館作成)

7月

レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き

レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き

コスタンティーノ・ドラッツィオ/著 上野 真弓/訳  河出書房新社

画家であり彫刻家、音楽家、金細工師、舞台演出家、技術者、建築家、多彩に満ちた天才でありながらなかなか世に認められず、多くの挫折と失敗を繰り返してきたレオナルド。完璧さを求めるあまり作品のほとんどを完成させることができなかったと言われているが、それを語るには複雑な事情が絡み合っている。イタリア各地からフランスへと地を転々とし、時には前のパトロンとはライバル関係にある都市国家に仕えながら、レオナルドの人生はルネッサンス期の芸術的革命に大きな影響を与えるものとなる。音楽、建築、天文学、数学、解剖学、地質学など多岐に渡り自身の探究心に没頭し、そのすべてが一つに集まり絵画や素描を通して語られている。この本はただの作品の解説に留まらず、誰もが知る謎多き天才の生涯を物語った興味深い一冊である。(南荻窪図書館作成)

6月

オレンジガール

オレンジガール

ヨースタイン・ゴルデル/著  NHK出版

哲学を優しく説きベストセラーになり映画化した「ソフィーの世界」の著者ヨースタイン・ゴルテル。この本は家族をという身近なものを題材に生について書いている。
15歳のゲオルグ少年が学校から家に帰ると手紙があった。それは11年前に亡くなった父からの手紙だった。生前の父が未来の息子に宛てた手紙には風変りな女性オレンジガールと父との物語が書いてあり、父は最後に息子にとても大切な質問をなげかける。登場するオレンジガールとは誰なのか?とても大切な質問とは?この広い宇宙に生まれたひとりひとりの命のはかなさと尊厳を考えさせられ、父と子の時を越えた繋がりが物語をより魅力的にする。
ある人は少年の視点で、またある人は父や他の登場人物の立場でオレンジガールと父の物語を読むと面白い。中高生から大人まで幅広い年齢の方に読んでもらいたい一冊。(阿佐谷図書館作成)

5月

シードルの事典

シードルの事典

小野 司/監修  誠文堂新光社

 シードルは、りんごを発酵させて造るお酒で、欧米では古くから飲まれているお酒ですが、最近では、日本でもしだいに人気が高まってきています。この本は、日本で初めてと言ってもよい、シードルの魅力を一冊にまとめた内容になっています。
 第1章では、シードルの起源と醸造工程がわかりやすく説明され、さらに使用されるりんごの種類や健康効果にも言及し、シードル全般についての基本的な知識を得ることができます。
 第2章は、「日本で飲める世界のシードル」ということで、日本に輸入されているフランスやスペインなど各国のシードルの種類や醸造所の紹介、第3章は、「今飲みたい日本のシードル」として、りんごの産地を中心に広がりつつある多彩なシードルと醸造所が紹介されています。
 そして最後の章では、シードルに合わせる料理レシピやシードルを使ったカクテルの作り方など、実際の食卓でのシードルの楽しみ方が掲載されています。
 この本を片手に、「ワインよりカジュアルで、ビールよりおしゃれ」、また健康にもよいシードルの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。(西荻図書館作成)

4月

プリズン・ブック・クラブ,コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

プリズン・ブック・クラブ,コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

アン・ウォームズリー/著  紀伊國屋書店

カナダの刑務所で実際に行われた、受刑者たちによる読書会の様子を描いた作品です。強盗に襲われた経験のある著者は、犯罪者に対する恐怖から当初この読書会にボランティアとして参加する事を躊躇します。参加を決意するに至るまでの心情が丁寧に綴られ、読み手もまた「刑務所の読書会」という未知の空間に恐る恐る足を踏み入れる感覚になります。
 いざ参加した読書会は、時に不穏な空気をはらみつつも、受刑者達による深い洞察や鋭い意見が交わされ、著者自身が魅了されていく過程を踏まえつつ、読者も自ずと引き込まれていきます。本書の楽しみ方は他にもあり、自分自身が読んだことのある本が課題図書になると、受刑者達が語る意見や感想に共感したり感動したり、まるで自分もその場に居て議論に参加しているかのような臨場感を味わえます。また本書は良質なブックリストとしても活用できます。読書会で読まれる本はどれも興味深く手に取って読みたくなる為、メモを片手の読書をおすすめします。(成田図書館作成)

3月

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活

高野 秀行/著  講談社

日本で暮らす外国人の毎日の食事はいったいどんなものなのか、気になりませんか? 現在日本には約230万人(2017年7月)の外国人が様々な国から移り住み、暮らしています。
今回お薦めする『移民の宴 日本に移り住んだ外国人の不思議な食生活』では、仏教、イスラム教、キリスト教など、思想も宗教も文化も異なる彼らの日本での食生活が語られています。
例えばタイ人。彼らは日本の料理もタイの料理も日常的に作ります。焼き魚はさっと調理できていい、との意見も。一方で、仏教への信仰が厚いタイ独自の文化である“功徳を積むために僧侶に料理を振る舞う“というタンブンが日本でもタイと同じように行われているのです。
次に在日ムスリム(イスラム教)の彼らは豚肉を口にすることを固く禁じられているため、日本で料理を食べるには細心の注意が必要です。そんな彼らに人気なのは寿司。ムスリムが安心して食べることのできる寿司、実はハラルフードなのです。
このように、独自の文化と日本の文化を共に活かして暮らす外国人の姿がリアルに描かれています。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」をモットーにする杉並区ゆかり作家・高野秀行さんが書くノンフィクション、ぜひあなたもその探検の記録をのぞいてみてください。(宮前図書館作成)

2月

ゲバラのHIROSHIMA

ゲバラのHIROSHIMA

佐藤 美由紀/著  双葉社

昭和34(1959)年7月25日、広島の原爆慰霊碑の前に立つ軍服姿の男がいました。男の名はチェ・ゲバラ。フィデル・カストロと共にキューバ革命を成し遂げた伝説の革命家です。なぜゲバラは広島を訪れる必要があったのか・・。本書は資料や関係者の証言を基にその理由を明らかにしていきます。印象的な日本でのゲバラの言葉が2つあります。1つは「日本人はアメリカにこれほど残虐な目に遭わされて、腹が立たないのか」(原爆資料館でのつぶやき)。もう1つは「平和のために断固として戦うには、ここを訪れるのが良いと思う」(妻アレイダに広島から送ったハガキの中の言葉)。2つとも日本人にとって考えさせられる、重い言葉だと思います。本書には我々が決して忘れてはいけない広島、そして平和への祈りがあります。(高円寺図書館作成)

1月

米、麵、魚の国から アメリカ人が食べ歩いて見つけた偉大な和食文化と職人たち

米、麵、魚の国から アメリカ人が食べ歩いて見つけた偉大な和食文化と職人たち

マット・グールディング/著 羽田 詩津子/訳  扶桑社

「日本を訪れたら何を食べるべきか?それなら職人のいる店に行くといい。和食が特別なのは、ひとつの料理を極めるために身を捧げる職人の力があるからだ」
アメリカ人ジャーナリストのマット・グールディングが、北海道から九州まで食べ歩き、出会った料理人たちに徹底取材し、食・人・土地を通じて、豊かで奥深い和食文化を浮き彫りにします。
至福の味に変える寿司の「錬金術師」、1本の串に全力を注ぐ焼鳥職人、食い倒れの街で食べた近江牛のステーキや串揚げ、常に挑戦を続ける京料理の親子、著名ブロガーと一緒に食べ歩いた豚骨ラーメン、グアテマラからの移民が作るお好み焼き、北の大地のワインやチーズやパンや蕎麦、発酵王国の能登で地域の伝統食を守る旅館の夫婦。
東京、大阪、京都、福岡、広島、北海道、能登で「一意専心」の本当の意味を教えてくれた、完璧を追求する日本の職人たちに捧げる、アメリカ・トラベルライター協会による2016年最優秀トラベル・ブック受賞作です。(柿木図書館作成)

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