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おすすめ図書 2019年

2月

小説禁止令に賛同する

小説禁止令に賛同する

いとうせいこう/著  集英社

ときは2036年、本作の語り手である主人公の老作家は、亜細亜連合の東端列島にあるという独房に収監されている。言論弾圧を受けて囚われの身となった彼が書いているのは、当局が出した「小説禁止令」に賛同するための「随筆」である。その語るところによると、2020年代に起こった大きな紛争により、世界の勢力図は、私たちが知るものとは大きく変わってしまっている。そしてあるときを境に、紙に書かれた「小説」が非常に重大な力を持つようになり、そのために「小説」は禁止された、というのだ。「■」で示される黒々とした伏字、カタカナと過去形の文末表現を廃した(廃させられた)文章は、不気味な緊張感を孕んでいる。だが、最も不気味なのは、この作品のどこまでが現実で、どこからが虚構なのか、読めば読むほど曖昧になっていくところだろう。現代の文脈の中にあっては、これを単なるディストピアものとして読み飛ばすことは到底できない。これは、謎めいた表現一つ一つの意味をじっくり考え、手探りしながら読んでいきたい「随筆」……いや、「小説」である。(中央図書館作成)
 

1月

ホスピス医が自宅で夫を看取るとき

ホスピス医が自宅で夫を看取るとき

玉地任子/著  ミネルヴァ書房

神様が一つだけ願いを叶えてくれるなら、自宅で眠るように逝かせて欲しい。と答える人は少なくないでしょう。医師である著者はそんな患者の思いに押され在宅医療専門のクリニックを開院します。同じく医師である夫は良き理解者でしたが、ある日末期がんに侵され余命宣告を受けます。そして著者は夫を自宅で看病し看取る決意をするのです。
いざ自分が患者とその家族の立場になった時、かつて医師として投げかけていた言葉に自ら癒され、また時としてやるせなくなることも。穏やかな性格の夫が病に侵され変貌していく様に戸惑い、次々と襲い掛かる不運に、悲嘆と絶望の日々を過ごします。
しかし、その経験をしたからこそ、感謝や深い愛、絆、時の経過という優しさを知ったのです。著者は産む時に助産師がいるように、死ぬ時の「助死医」の必要性を患者やその家族に教えられました。本書には緩和ケアの真髄が詰まっています。所々に織り込まれた八木重吉の詩に胸が熱くなります。(永福図書館作成)

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