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本の中のすぎなみ 2015年

12月

花酔いロジック 坂月蝶子の恋と酔察

花酔いロジック 坂月蝶子の恋と酔察

森晶麿/著  角川文庫

舞台は高円寺駅前。
中央線沿線の大学に通う坂月蝶子<オチョコ>は、酔えない体質ながら、
お酒を浸かる様に飲むサークル、酔理研究会<スイ研>の先輩に囲まれ、
引き回されながら失せ物探しや、不可解な出来事を酔理、もとい推理します。
ある日、姿を消した先輩を探す事になったオチョコは高円寺の何処かにある、
美味しいどぶろくを出す半地下の店を探す事に・・・。
恋と謎と酩酊が入り乱れる短編連作集の一篇。

-すい、すい、すいすいすいすい、酔えば素敵な理が見える
-すい、すい、すいすいすい研、飲めばあなたも理が見える
高円寺駅前の学生や大人達を分け隔てなく迎え入れ、笑顔と混沌を横並びに
賑わう飲食店街は迷宮そのもの。
本を読み、美味しいどぶろくを探しに行ってみるのは如何でしょうか?(中央図書館作成)

11月

恍惚の人(新潮文庫)

恍惚の人(新潮文庫)

有吉佐和子/著   新潮社

昭和21年から59年までの38年間、有吉佐和子は亡くなるまで杉並に住んだ。その有吉佐和子の作品のひとつを、今回は取り上げたい。
小説の舞台は杉並。梅里に住む家族の物語。離れに住む姑が亡くなり、残された舅の異変に家族が気付くところから始まる。
舅は初期の認知症だった。症状が進んでゆく舅。舅の変化に伴い、家族の生活や家族ひとりひとりの役割も変化せざるをえなくなる。認知症の高齢者とその家族の日々をつづった作品だ。
生まれたら、その先に必ず老いがつながっている。舅・茂造の逝き方をとおしてそれを語っている。
有吉佐和子が住んだのは堀ノ内だったから、設定は隣町ということになる。症状のすすんだ舅が東に西に徘徊するのは青梅街道だ。小説の中で嫁の昭子が舅の手をひいて出かけた縁日は、有吉佐和子が娘さんと毎年初詣に行った妙法寺。
昭和47年に出版されたかなり前の作品だが、現在読んでも老いについて胸をつかれるのではないだろうか。(方南図書館作成)

10月

アンネのバラ

アンネのバラ

國森康弘/文・写真  講談社

杉並区立高井戸中学校の花壇には毎年少し珍しい品種のバラが咲いています。
その名も「アンネのバラ」。 
「アンネのバラ」とは、15歳で短い生涯を終えたアンネ・フランクを偲んで、ベルギーの園芸家が新種のバラに「アンネの形見」と名付けたものです。
1975年、杉並区立高井戸中学校の生徒が「アンネの日記」を読み、感想文をアンネの父オットー・フランクに送ったことがきっかけとなり、オットー氏よりバラが送られてきました。
その後このバラは、高井戸中学校の生徒、先生、サポーターズのメンバーにより大切に育まれ、3株からはじまった苗は現在160株になりました。バラは5月から11月にかけて咲き、5月と10月には高井戸中学校で一般公開も行っています。
アンネ・フランクが書き残した日記の中にある平和への思い、その思いは「アンネのバラ」を通して、現代に生きるわれわれにきっと引き継がれていることだと思います。(高井戸図書館作成)

9月

文豪の風景

文豪の風景

高橋敏夫・田村景子/監修   エクスナレッジ

名作と風景には深い繋がりがあります。作品に描かれている風景の中に立ってみたい、著者の記憶に刻まれ、その人格を形作ってきた景色を見てみたい、といった思いを抱いたことがあるのではないでしょうか。
この本には、36名の文豪と関わりの深い風景が掲載されています。広島県に生まれ、東京に移り住んだ井伏鱒二は、昭和22年に杉並区清水に居を構え、平成5年にその生涯を閉じるまで、この地で生活していました。昭和57年に刊行された『荻窪風土記』に、当時の様子が記されています。作中に登場する、天沼八幡神社、天沼教会、善福寺川の当時の写真が『文豪の風景』に掲載されており、著者の過ごした杉並の町を窺い知ることができます。また、杉並区で生活していた作家、林芙美子、太宰治、松本清張等についても記載されており、著者自身が写っている写真もあります。
誰もが知る文豪の眺めていた風景に、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。(下井草図書館作成)

8月

死者の贈り物

死者の贈り物

長田弘/著  みすず書房

2015年5月、詩人・児童文学作家であり、翻訳家・評論家でもあった長田弘さんが、杉並のご自宅で亡くなりました。先人たちの遺した豊かなことばを引きながら、そこに「ある」ものではなく、「ない」ものをすくいとっていく。それが、長田さんの詩の多くに共通する姿勢でした。本書は、「死」について書かれた詩集ですが、「死」もまた、「生」の裏側にあって、ふだんは忘れ去られているものでしょう。「なくてはならないもの。/何でもないもの。なにげないもの。」(「わたし(たち)にとって大切なもの」)「わたしたちは、何をすべきか、でなく/何をすべきでないか、考えるべきだ。」(「こんな静かな夜」)。――目に見えて役に立つものばかりがもてはやされる現在、そんな警句のようなことばが、胸に響きます。「逝ったものが、いま、ここに遺してゆくものは、あたたかなかなしみと、簡潔なことばだ」(「あとがき」より)とあるように、本書もまた、長田さんからの『死者の贈り物』のひとつなのだと、思えてなりません。(中央図書館作成)

7月

トトロの住む家

トトロの住む家

宮崎駿/著 和田久士/写真   岩波書店

「トトロの住む家」と聞けば、所沢あたりのイメージですが、実はその原型は杉並にあったようです。宮崎駿監督は子どもの頃永福町に住んでいたそうで『となりのトトロ』を見た宮崎氏のご兄弟たちは「あの家を使ったな」と言ったとか。
20年以上前のこと、宮崎氏が仕事場の阿佐谷の周辺を散歩していた折、一軒の家に出会ったことが、この本の誕生のきっかけとなりました。昭和30年代の面影を残す家々を、宮崎氏自身が訪れ取材。写真やイラスト、インタビューをまじえて紹介しています。掲載されている6軒のお宅は、みな中央線沿線にあり、そのうち3軒は天沼と阿佐谷に。
縁側、木枠の窓、程よく手の入った庭や生け垣。玄関横の洋間と見越しの松。住む人の心がしみ込んだ、懐かしい「昭和の家」。
こんなお宅の台所の隅には、まっくろくろすけ(ススワタリ)が潜んでいそうです。
2011年刊行で、1991年に朝日新聞社より刊行されたものの増補改訂版です。(南荻窪図書館作成)

6月

ねじめ正一の商店街本気グルメ

ねじめ正一の商店街本気グルメ

ねじめ正一/著  廣済堂出版

「味の記憶」というのは不思議なものです。「美味しい」ものを食べた幸せな記憶。「不味い」ものを食べた不快な記憶。人の一生は「味の記憶」の連続です。本書は杉並区在住の詩人であり、小説家のねじめ正一さんが語る「味の記憶」を綴ったものです。全4章で構成され、「商店街の味」「思い出の味」「本気の味」「旅先の味」とそれぞれの「味の記憶」にまつわるエピソードが収録されています。「商店街本気グルメ」と銘打っていますが、全国の商店街の美味珍味を食い倒さんとするような、味の求道者めいた本ではありません。そもそも、著者であるねじめ正一さんは「行列が嫌い」「私は食に関しては超保守的」と公言して憚らないお人柄。そのため取り上げる食べ物も「牛乳」「ラーメン」「どら焼き」「お茶漬け」と日本人が好む食べ物ばかりです。聞いたこともない食べ物ではなく、なじみがあるだけに、読者にも自然と「味の記憶」が呼び起されます。
地元、杉並のお店も多数登場しており、本書を片手に散策をしてみるのも楽しいのではないでしょうか。(既に閉店してしまったお店もあるのでご注意ください。)(阿佐谷図書館作成)

※杉並区が、今年5月に作成したDVD「杉並ゆかりの文化人」アーカイブ映像集vol.5にねじめ正一さんが登場します。DVDは区立図書館、文化・交流課で貸出しています。カウンターへお問い合わせください。また区のホームページから視聴もできます。杉並区の文化人の軌跡をぜひご覧ください。
 

5月

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西荻観光手帖

西荻案内所/編  西荻窪商店会連合会

2014年1月に発行されたこの西荻観光手帖には、西荻に関する様々な事柄が紹介・掲載されています。表記的に「西荻」が正しいのか「西荻窪」なのか、に始まって、歴史観光については、先史時代から続く西荻の歴史が奇麗なイラストでまとめられ、そうかと思えば西荻二大キャラクター「ハローくん」や「ピンクの象」の紹介文もあります。ハローくんの将来の夢や、なぜあの象はピンクなのかなどという秘密も細かく記述されています。
そのほかにも、西荻の湧水、善福寺公園の野鳥などの西荻の自然についての解説、また西荻の文学者、西荻の建築さんぽに至るまで多種多彩の内容です。
序文を読むと、西荻への愛にあふれている文章で、一見の価値があると思います。(西荻図書館作成)

4月

奇跡の団地 阿佐ケ谷住宅

奇跡の団地 阿佐ケ谷住宅

三浦展/編著  王国社

昭和33年、善福寺川付近に阿佐ケ谷住宅が作られました。団地=直線的、というイメージがありますが、阿佐ケ谷住宅はゆるくカーブした道に沿って赤い三角屋根のテラスハウスが並ぶ、緑の多い集合住宅です。入念な設計と住民の手入れにより、50年の歴史を刻みました。建築デザインが注目されがちですが、本書は公団の建設方針の推移を詳しく示し、都市計画の見地からも価値の高さを伝えています。共有スペースと各戸から溢れ出た「えたいの知れない緑」も阿佐ヶ谷住宅の魅力の一つです。公と私の境界を曖昧にして緩やかにつなげることで住民同士の交流を育みました。管理し過ぎず適度に放置することで生まれる心地よさが、奇跡の団地と呼ばれる所以です。未来への希望が満ちていた時代の雰囲気と、建築家の意気込み、住民が愛着を持って生活した50年の歴史が染み込んだ阿佐ケ谷住宅。残念なことに解体されて、現在は見ることができません。本の中では出会えますので、ご興味のある方は図書館でこの本を手に取ってみてください。(成田図書館作成)

3月

向田邦子の恋文

向田邦子の恋文

向田和子/著  新潮社

それはいかにも、姉らしい「秘め事」だった。
直筆の手紙、秘蔵の写真、姉の追想-没後20年を越えて、初めて明かされる素顔。
脚本家への道を歩み始め、徹夜続きで仕事に打ち込む姉・邦子を慈しみ支えた一人の男性がいた。一途で切ない秘密の恋だった。
邦子が急逝して20年、妹・和子は遺品の中から二人が40年近く前に送り合った手紙を見つける。遺された文面から今なお香り立つ想いが、遠い日を蘇らせる。
幾つもの想いが響き合う、姉と妹の「最後の本」。
著者向田和子さんは、高井戸第二小学校を卒業。久我山にお住まいでした。
今なお、向田邦子さんを偲ぶファンは多いのではないでしょうか。(宮前図書館作成)

2月

東京の空の下、今日も町歩き

東京の空の下、今日も町歩き

川本三郎/著  講談社

映画や文芸などの評論で知られる川本三郎さんは、町歩きに関する著作も数多く書いています。この著書も、東京都内の気になるいくつかの町を、一人で歩き回った印象を綴った小旅行記です。著者によれば、「勝手気ままに横丁や路地に入りこむ。草土手を歩く。夕暮れどきともなれば見知らぬ居酒屋にもぐりこむ。」といった感じの町歩きだったようです。
この本の町歩きの中で、著者は子供時代を過ごした阿佐ヶ谷・荻窪周辺を歩いています。当時は、戦前の住まいがそのまま残った住宅地だった阿佐ヶ谷も、庭のある一戸建てだったところにアパートやマンションが建ち、生垣もコンクリートやブロック塀に変わってしまい、自分が育った町が見知らぬ町に見えてしまう複雑な思いを著者は感じてしまいます。ただそんな中でも、案外変わっていない、商店街の個人商店を見つけることで、子供の頃の記憶をよみがえらせ、懐かしい思い出を語っています。
町歩きは、阿佐ケ谷から荻窪へと続き、焼鳥屋、ラーメン屋、名曲喫茶など飲食店が雑然と並ぶ、戦後のマーケットを思わせる雰囲気を残す中央線路沿いの北口商店街などを歩いています。そして南口の古本屋や新しい書店をめぐり、昔ながらの大衆食堂や居酒屋で、買ってきた本のページを開きながら、のんびりビールを楽しんでいたようです。
そして最後は、中央図書館へと向かう途中にある、大正ロマンあふれる建築で知られる風情ある旅館に宿泊して、この小旅行をしめくくっています。(高円寺図書館作成)

1月

ソボちゃん

ソボちゃん

有吉玉青/著  平凡社

昭和21年に和歌山から帰京してから、昭和59年に亡くなるまで38年間杉並区に住み続けた作家、有吉佐和子さんの娘である玉青さんが、いちばん好きな人のことを書いた本です。
佐和子さんの名作『紀ノ川』の文緒のモデルであり、生涯、佐和子さんを支え続けた「祖母」秋津は、人気作家の母にかわり、幼い孫娘を育て、励まし、導いてくれた最愛の人でした。
ソボのソは、てっきり「粗品」の「粗」の字を書く粗末な祖母と思ってしまい、それは勘違いだと祖母から教えられ、それ以来、ふざけて「ソボちゃん」と呼ぶようになったというエピソードをはじめ、高校受験前の節分のとき、豆まきの袋の中に入っていた、鬼の顔をかたどった白い落雁を、ひと口にほおばってくれた甘やかな体験や、「ソボちゃん」に言われたものをすべて入れているため、いつも大きな鞄を持ち歩いているというご自身のお話など、祖母から母、娘へと流れる有吉家の女三代の物語です。(柿木図書館作成)

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