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本の中のすぎなみ 2020年

10月

もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた

もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた

角田光代/著、吉田修一/著、村山由佳/著、柚月裕子/著、保坂和志/著、養老孟司/著  河出書房新社

NHKのテレビ番組「ネコメンタリー猫も、杓子も。」が一冊の本になりました。
角田光代さん、吉田修一さん、村山由佳さん、柚木裕子さん、保坂和志さん、養老孟司さんの人気作家6人が、個性溢れる愛猫との日常を語ります。
 杉並区ゆかりの作家、角田光代さんが紹介する愛猫は、アメリカンショートヘアの『トト』。人生で初めて一緒に暮らすことになった猫は、漫画家の西原理恵子さんと飲むことになり、初対面の西原さんから唐突に「猫いる?」って聞かれ、「欲しいです」と言うと、「じゃあ、生まれたらあげる。七番目ね」というエピソードや、非常に寛容でやさしいが、ちょっと暗めで、はつらつとしたところがない『じっとり』しているトトの性格が自分に似ていることや、トトが来てから、生活が変わり、自分自身も変わったことが語られています。
猫を家族に持つ人には、何ともたまらない一冊です(柿木図書館作成)。
 

9月

神田川再発見 歩けば江戸・東京の歴史と文化が見えてくる

神田川再発見 歩けば江戸・東京の歴史と文化が見えてくる

神田川ネットワーク/編  東京新聞出版局

神田川は、井の頭池を水源として東へ流れ、両国で隅田川に注ぎます。杉並区には、その支流である善福寺川・妙正寺川も流れており、川沿いは遊歩道や公園が整備され親しみやすい場所になっています。
本書は、神田川の環境保全・調査・イベントなどを行う30団体の会員が、5年をかけ徹底踏査した研究成果です。源流から河口まで川沿いを歩み進める展開で、手書き地図・写真・江戸文政期の『江戸名所図会』の風景画を配し、橋・地名に残る歴史や文化を紹介しています。徳川家康が入府に際し飲用水として開削した神田上水は、下流域では舟運流通の軸として江戸を支えていました。人々の営みには川が重要であったこと、神田川が、江戸・東京の都市の成り立ちに大きく関わっていたことがわかります。川と結びついた奥深い歴史の重なりと生活文化を、身近に感じてみませんか。(永福図書館作成)

8月

のらくろ上等兵

のらくろ上等兵

田川水泡/著  講談社

昭和8年、漫画家の田河水泡は、荻窪に新居を構えます。戦前から戦後にかけての超人気漫画・『のらくろ』の多くは、この荻窪の地で生み出されました。
のらくろの本名は野良犬黒吉。天涯孤独の野良犬でしたが、犬の軍隊である「猛犬連隊」に入営します。おっちょこちょいな性格のため失敗もしますが、持ち前の知恵と行動力で華々しい活躍を見せはじめます。本作では入営直後の二等兵、一等兵時代のエピソードが描かれていますが、のらくろはその後も活躍を続け、2巻目以降では下士官から将校へと出世していきます。
 昭和44年に講談社から復刻刊行された本シリーズは全10巻。軍隊を舞台としながらも、初期の作品にはのんびりしたユーモアとペーソスが溢れています。ただし、日本の戦局の激化により、後期の作品には戦争の緊張感が漂っています。(中央図書館作成)
 

7月

死ぬまでに一度は訪ねたい東京の文学館

死ぬまでに一度は訪ねたい東京の文学館

増山 かおり/著  エクスナレッジ

 「東京にはこんなにも文学館があるのか!」というのが、まずは飾らざる正直な驚きであり感想だ。本書には文学に関わる記念館や美術館・博物館が数十館網羅されており、一館一館丁寧に紹介されている。
 なかでも区内上荻に立地している「杉並アニメーションミュージアム」は、常設展示のほか、DVD視聴や関連書籍もあるようで、日本アニメの歴史を知ることができる。アニメファンならずとも興味深い館が、実は身近なところにあったのだ。
 杉並区内ではほかに、「東京子ども図書館石井桃子記念かつら文庫」も紹介されており、近隣地域の多くの個性豊かな館が揃った内容だ。
 一方、文学に興味・関心がなくても、サラサラとページを広げてみるだけでも、館特有の建築或いはデザイン、インテリア等も垣間見ることができて、楽しい。
 巻末には、「文学館をもっと味わう方法」として、5つほど紹介されている。例えば、「3夏休みや作家の命日付近に訪問」というのは、「これなら行ってもいいかな」と、ものぐさ人間の食指を動かす可能性大である。
 「タイトルが大げさだなぁ」と少し思いつつも、なぜか紹介したくなる一冊。(今川図書館作成)

6月

高円寺エトアール物語

高円寺エトアール物語

増山かおり、半澤則吉、枡野浩一/著  エトアール通り商店会

高円寺をこよなく愛する3人の作家が書いた、エトアール通り商店会を舞台に繰り広げるショートストーリーです。
第1巻は、ハードロックバンド「テングス」にあこがれて、彼らの聖地であるエトアール通りを二人の女子が巡ります。バンドがらみの漫画家が撮った自主映画を見たり、聖地近くの喫茶店でコーヒーを飲むようになったり、聖地巡りのあとから、二人の日常に少しづつ変化が訪れます。
第2巻は、高円寺美少女映画祭に参加することになった勇と国吉先輩が四苦八苦しながら映画をつくるまで。最終巻は、歌人枡野浩一が知る人ぞ知る芸人トリオ「詩人歌人と植田マコト」のメンバーだった頃のほろ苦い日々が描かれています。
3巻を通じて同じお店が登場したり、主人公たちとエトアール通りでばったり出会えそうな気分になります。お店の紹介や地図も掲載されていますので、お話を想像しながらのんびりと足を運んでみるのも楽しいかもしれません(方南図書館作成)。

5月

高円寺文庫センター物語

高円寺文庫センター物語

のがわ★かずお/著  秀和システム

「日本一ロックな書店」とミュージシャン忌野清志郎から言われた伝説の本屋のお話です。かつて「高円寺文庫センター」がJR高円寺駅近くに1982年から2010年までありました。著者はその店長です。並べる本のセレクトは基本サブカルチャー系。ミュージシャン、お笑い芸人、漫画家、演劇人、写真家の卵たちが数多くこの高円寺に住んでいました。本や雑誌を中心にCDやTシャツなど独特の品揃えで、高円寺の客層を魅了していきます。常に唯一の本屋作りに励んだ奮闘ぶりが描かれています。小規模な本屋ですが、様々なジャンルの著者のサイン会やトークショーが催され、そこには忌野清志郎、リリー・フランキー、中島らも、みうらじゅんなど賑やかな顔ぶれがならびます。本屋のイベントに一役かうアルバイト店員と店長との軽妙な会話や、個性溢れる出版社とのやりとりも興味深いです。
長く高円寺の人々に愛されている四丁目カフェ、洋菓子のトリアノン、オープンカフェならぬオープン居酒屋の大将などが何度も登場し高円寺愛で溢れた、著者いわくセミドキュメンタリーエンターテイメント小説となっています。(高井戸図書館作成)

4月

ニュートリノと私 not a miracle at all 100年インタビュー

ニュートリノと私 not a miracle at all 100年インタビュー

小柴 昌俊/著  PHP研究所

ノーベル物理学賞を2002年に受賞した小柴昌俊さんが、杉並区の名誉区民であることはご存知でしょうか。小柴さんは日本を代表する科学者で、宇宙から飛んでくるニュートリノという目に見えないとても小さな粒子の観測に成功しました。

2007年に放送されたテレビ番組「100年インタビュー/物理学者・小柴昌俊」をもとに書籍化された本書では、子どもの頃に罹った小児麻痺の克服からニュートリノを検出してノーベル賞を受賞するに至るまでの小柴さんの半生を振り返っています。また、取材当時の小柴さんの夢や、これからの時代を生きる若い人たち向けて、自分が本当にやりたいことを見つける努力をして欲しいという小柴さんの想いも語られています。

 ひとりの科学者の伝記である本書。物理学の道に進むことを最初から考えていたわけではなかった小柴さんは言います。恩師との出会いやひとつひとつのエピソードの中に、小柴さんの人柄が感じられる一冊です。(下井草図書館作成)

3月

渡辺錠太郎伝 二・二六事件で暗殺された「学者将軍」の非戦思想

渡辺錠太郎伝 二・二六事件で暗殺された「学者将軍」の非戦思想

岩井 秀一郎/著  小学館

 西荻北から荻窪駅方面へ歩くと、10分ほどで光明院が見えてくる。仕事帰りに、わたしがよく歩いた道。光明院の近くに、陸軍大将や教育総監も務めた、渡辺錠太郎の自宅があったという。
 
 数日前からの大雪により、一面雪野原となった東京で起きた二二六事件。本書は、積雪が残る荻窪の自宅で、銃撃によって壮絶な最期をとげた、渡辺錠太郎の伝記。
家庭が貧しく、小学校もろくに通えなかった。それでも、労働しながら刻苦勉励を重ねた。生まれ育った地元では「明治の二宮金次郎」と呼ばれる。陸軍士官学校を首席で卒業し、軍人になってからも月給の大半が本に消えた。尋常ではない読書量だったという。
第一次大戦後のヨーロッパを視察し、戦争の実情を、悲惨さを知り尽くしていた渡辺。「非戦」、戦争を避けるための軍備の重要性を絶えず訴え続け、襲撃対象になってしまった。
 最終章がやるせなく、たいへん切ない。
 
 あの事件から85年。東京は、日本は、少しは良い方向に変わっただろうか。(中央図書館作成)

2月

東京の地下鉄路線網はどのようにつくられたのか

東京の地下鉄路線網はどのようにつくられたのか

東京地下鉄研究会/著  洋泉社

杉並区民がよく利用する駅、荻窪駅。地下鉄丸ノ内線の終着駅です。その丸ノ内線、一部区間では地上を走り、また運転間隔が1分半から2分という日本一の高密度運転というめずらしい路線であることをご存じでしょうか。
昭和初期に誕生した東京の地下鉄。国内初となる開業が上野と浅草を結ぶ銀座線でした。丸ノ内線の全通は、戦後になってからであり、その当時、新宿~荻窪間ほか一部区間は「荻窪線」と呼ばれていたそうです。「荻窪線」と聞いて、懐かしく感じる方もいらっしゃると思います。
そんな丸ノ内線、ツルハシやスコップが主流であった時代、建設工事には多くの困難が伴い、一部区間で地上を走ることもその困難を解決する苦肉の策だったようです。また、当時の国内ではめずらしいモグラのように掘り進めながら造るルーフシールド工法が採用されたそうです。
いつもの地下鉄ですが、本書を読んで利用すると、また違った景色が見えてくるかもしれません。(南荻窪図書館作成)

1月

にゃんくるないさー

にゃんくるないさー

北尾 トロ/著  文藝春秋

 「にゃんくるないさー」は沖縄の方言「なんくるないさー」の猫語(?)だ。
 著者の北尾さんは“人生なんとかなるさ”をさりげなく実践している。
 最初の出会いは阿佐ヶ谷の古いアパートで、庭で日向ぼっこをしていた猫と目が合って、当たり前のように猫との付き合いが始まるのである。
 日々の生活を淡々としているように思わせて、その割には、ネグリジェおばさんに迫られたり、大学3年を2度やって、やっと卒業したら就職した会社を半日で辞めてしまったり、なかなかびっくりすることをサラリとやっている。
 本人がひとつのところに定住できない、ノラ猫のような人なのである。
 ノラ猫のような人が本物の猫と共同生活を始めたことで、やっと人らしい生活をしだした。
 けれど本質は変わらないらしく、杉並区内で引っ越しを繰り返している。
 猫は縄張り意識が強いと聞くが、『杉並』の街の気質がそうさせているのかもしれない。(阿佐谷図書館作成)

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