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いま、この本 2015年
5月
毎月、杉並区内図書館のYA担当者がおすすめの本を紹介します。(今月は、中央図書館が担当)
在庫状況は、検索して調べるか、図書館の人に聞いてくださいね。
カエルの歌姫
如月かずさ/著 講談社
放送委員が突然始めた「アイドル誕生プロジェクト」。ぼくが紹介した覆面アイドルの雨宮かえるの歌声に学校中が大興奮。他人を寄せつけない冷ややかな美貌と態度から「氷姫」の異名を持つ少女が、その歌声が流れると微笑むことに気づいたぼくは……。
初恋の戸惑い、決してなれないものへの憧れ、ありのままを受け入れてもらえる幸せ。サブカルを巧みに取り入れた、さわやかなジュブナイルストーリー。
消えてなくなっても
椰月美智子/著 KADOKAWA/メディアファクトリー
神と自然と人が共存しうる環境がいまだ残っているような溪谷の町。水野あおのは、ここ半年心療内科に通っている青年だが、仕事でこの地を訪れ、縁あってある治療院に身を寄せる。
昔から潔癖で理屈っぽく周囲から疎まれていた彼が、不思議な力をもつ鍼灸師の節子や同居人のつきの、河童のキヨシとの出会いと交流を通して心の病を癒していく。読後に悲しみとともに不思議な幸福感が残るファンタジー。
お任せ!数学屋さん
向井湘吾/著 ポプラ社
「数学で世界を救うこと」が夢だと語る不思議な転校生・宙は、突如、どんな悩みでも数学の力で解決するという「数学屋」を校内で開店する。数学の苦手な遥もなりゆきから店を手伝うことになり……。ストーリーの展開の流れに数学用語が散りばめられているが、易しく説明されていて数学にも興味がもてる。二人の奥に秘めた思いがこみ上げてくる感動のラストシーンまで一気に読ませる、青春数学小説。
「研究室」に行ってみた。(ちくまプリマ―新書)
川端裕人/著 筑摩書房
小説家である著者が、研究者にインタビューし、研究の内容や研究にまつわるエピソード、その道を選んだ経緯などを伝える熱きレポート。既存の教科の枠を越境し文理の壁を壊して自分自身の興味関心を突き詰めていく研究者たちの姿が生き生きと伝わってくる。
レポートのあとには研究者から若い人への励ましの言葉も掲載。これから将来を考える中高生にぜひ手に取ってもらいたい。
10代の憲法な毎日(岩波ジュニア新書)
伊藤真/著 岩波書店
校則と個人の自由、生徒会や部活動でのトラブル、小遣いや門限や家の手伝いなど、学校生活や日常生活で起こる出来事を素材にして、私たちの自由や権利と憲法がどう関わっているのかを生徒たちの疑問に答える形で示す。
憲法改正のための国民投票がいつ行われてもおかしくない時代に、憲法を生活に生かす方法を具体的に述べる一冊。未成年と憲法との関係性がわかる。
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