4月の本の中のすぎなみ

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中央線随筆傑作集

南陀楼綾繁/編  中央公論新社

この本は中央線をテーマにした随筆・エッセイを集めたものです。

中央線沿線で杉並区内の「駅」は「高円寺」「阿佐ヶ谷」「荻窪」「西荻窪」の4駅です。

本書のなかで特に印象に残った随筆を、駅名ごとに紹介します。

まずは「高円寺駅」。作家の芝木好子さんが「電車から見えた」のなかで、高円寺駅のホームから見えた富士山について記しています。冒頭の「国電の中央線が複々線になるために高架線になって」という描写が時代を物語っています。若い人には「国電」では、もはや通じないかもしれません。「国鉄」とも言いますが、今の「JR」のことです。続いて「阿佐ヶ谷駅」。テレビの演出家および作家でもあった久世光彦さんが「阿佐ヶ谷は、怖くて美しかった」と題して、幼少年時代の思い出を「怖い」と「美しい」をテーマに綴っています。次は「荻窪駅」。児童文学作家であり翻訳家でもあった石井桃子さんが「南口の亡霊」のなかで「昭和ひと桁時代後半の荻窪駅周辺の印象」を、駅の南口から自宅までの情景として描いています。最後に「西荻窪駅」。通称「西荻」については、作家の田中小実昌さんが「西荻窪の借金」と題して、昔西荻にあった飲み屋の思い出をユーモラスに書いています。タイトルの「借金」は当時の飲み代を、ほとんどツケにしていたことからきています。

(方南図書館作成)

 

3月の本の中のすぎなみ

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二人の嘘

一雫ライオン/著  幻冬舎

東京地方裁判所の判事・片陵礼子は「十年に一人の逸材」と呼ばれ、将来を嘱望されていた。

最高裁判事になることが確実視され、微塵の汚点もないキャリアを邁進する中、礼子はかつて自らが懲役刑に処した元服役囚が、近頃裁判所の前に佇んでいることを知る。判決への不服か、それとも自分が間違いを犯したのか。気になって過去の公判資料を見返した礼子は、ある違和感を覚えて男のことを調べ始める。

美貌の判事と謎多き殺人犯。二度と交わるはずがなかった男女の人生がふたたび交錯した時、悲劇の幕が開く。

 

礼子は司法修習生時代に知り合った夫の両親が建ててくれた、角川庭園近くの一軒家に住んでいます。丸の内線で荻窪から霞が関まで通勤しており、元服役囚の蛭間と最初に言葉を交わしたのは荻窪駅です。荻窪駅前のバスロータリー付近などの描写もあります。

二人の「噓」とは何なのか、せつなさが胸を打つミステリーです。 (高井戸書館作成)

 

2月の本の中のすぎなみ

ばあさんは15歳

ばあさんは15歳

阿川佐和子/著  中央公論新社

中学3年生の菜緒と、祖母である「ばあさん」が繰り広げるタイムスリップ・アドベンチャー。

渋谷の家が改築中のため、杉並区下井草のマンションで菜緒と同居しているばあさん。ふたりは春休みに出かけた東京タワーの展望台エレベーターで、突然謎の振動に襲われる。ようやく開いた扉の先は、ばあさんが15歳だった1963年の東京につながっていた!

ふたりは、この時代には存在していないであろう下井草のマンションではなく、渋谷にあるばあさんの家を目指す。東京オリンピック開催直前の東京で、ばあさんの思い出に残る人々と出会う。そして、ばあさんの忘れられない過去と後悔が、少しずつ明らかになっていく…。

現代っ子の孫と口の悪いばあさんの、愉快で爽快な旅。心ふるえるラストまで一気に読める物語です。

 

物語の年である1963年は、住居表示が実施され、現在の「下井草○丁目」という呼び方が始まった年です。それまでは下井草町、向井町、中瀬町、神戸町、住吉町などの地名でした。

(下井草図書館作成)

 

1月の本の中のすぎなみ

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中央線怪談

吉田 悠軌/著  竹書房

杉並区に噂される怖い話や都市伝説があるのをご存じでしょうか。
今回紹介する『中央線怪談』は、著者が中央線沿線(東京駅から高尾駅間)の街に住む情報提供者に聞き取り調査を行い、それを元に33話にまとめた実話怪談集です。

杉並区が舞台となるのは、怪奇現象が多発するアパート物件の調査記録『杉並のタイラ荘』や、中杉通りのファミレスでターゲットを物色する『つきまとう赤い女・阿佐ヶ谷』など、合計6話。杉並区にお住まいの方なら「これはあの場所のことかな」などと推測しながら読んで楽しめると思います。時折挟まれるコラムでは、いかにして平将門の首塚が有名な祟りスポットになったのかなどを著者が考察しており、こちらも読みごたえがあり面白いです。

『中央線怪談』は各駅ごとにバラエティに富んだ怪談を収録しているにもかかわらず、全33話を通して読んでみると「中央線らしい」空気感があり、怪談も中央線で繋がっているのではないかと感じられると思います。

(南荻窪図書館作成)
 

 

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