6月のおすすめ図書

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最長片道切符の旅

宮脇俊三/著  新潮社
本書は会社を辞め時間ができた作者が、北海道の広尾駅から鹿児島の枕崎駅まで最短経路なら2764.2キロでたどりつける距離を、片道切符だけを使って4.8倍にあたる133194.4キロの34日間を費やした汽車の旅を記録したものである。当時は現在のように路線情報をインターネットで調べることができなかった時代。時刻表をもとに国鉄全線完乗を達成した、いわゆる「乗り鉄界のレジェンド」である作者の鉄道紀行文である。一日毎に道程とその地図がついて、その日の旅の様子が書かれている。14日目はいよいよ吉祥寺駅まで来るのだが、西国分寺駅からは武蔵野線→京浜東北線→高崎線→八高線→青梅線と乗り継ぎ立川駅まで行く。吉祥寺駅から立川駅までは中央線で17分程度だが、最長を行こうとするとこのルートなのか。渋谷駅で切符を買う際のエピソードがおもしろい。時刻表を駆使してレポート用紙3枚に経由する駅名や乗車するキロ数などすべてを書き記して持参するものの、切符は4日間を要して発行された。手渡される際には「本当に乗るんですか」と尋ねられたそうだ。鉄道の楽しみ方もいろいろあるが、時間に余裕があればぜひとも最長経路での旅をしてみたい。(西荻図書館作成)

 

5月のおすすめ図書

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私たちは何を捨てているのか 食品ロス、コロナ、気候変動

井出 留美/著  筑摩書房

 ロシアのウクライナ侵攻や気候変動などにより、米や卵を始めとした食品の価格上昇が止まらず、私たちの生活にも多大な影響を及ぼしています。ですがその一方で、私たちがどれほどの食べ物を捨てているかご存知でしょうか。
 本書によると、日本における食品ロスの金額は年間約4兆円で、大手コンビニ1店舗においてその額は年間468万円に上るそうです。その処理には税金も使われ、私たちはお金をかけてごみを捨て、二酸化炭素の排出量を増やし、さらなる気候変動へと足を進めています。
 人は生き物の命をもらうことなしには生活できません。食品ロスで失うものは、生き物の命や多くの労働力、安全な環境をも含んでいます。本書は生活と直結する食を通して、食品ロスの現状や世界中の取り組みを提示し、私たちが今後の社会にどう向き合い生きていくのか、一石を投じる一冊となっています。食べることは生きることという言葉の意味を、もう一度振り返ってみませんか。(成田図書館作成)

 

 

4月のおすすめ図書

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国境なき助産師が行くー難民救助の活動から見えてきたこと

小島毬奈/著  筑摩書房 ちくまプリマ―新書310

無事に出産できることがどれだけ奇跡であることなのか。そして生まれた命が元気に育つことがどれほど尊いことなのか。

日本で生きる私たちは、世界で起きている出来事にもっと目を向けなければならないと、本書の著者が教えてくれました。

助産師である小島さんは、国境なき医師団に登録し、これまで数々の紛争地域や難民キャンプ、難民捜索救助船などで活動をされてきました。

本書では、小島さんが体験した言葉や文化、考え方の壁や、提供できない医療へのもどかしさの数々が語られています。

中でも、助産師という立場から見た女性の地位の低さには、衝撃を受けました。紛争や貧困の中、女性が価値を認められるのは、出産し多くの子どもを持つ事であるため、出産や子育て環境が悪く、ハイリスクであっても人としての価値を認めてもらうため、女性達は産み続けるのです。また、難民地域では、命を脅かされたのち、望まない妊娠へと繋がるケースも多く、それほど女性の地位が低いという解決できない現状もあります。

新たな命の誕生に、心から喜べない。そんな複雑な世界が今もあります。本書を通じて、日本と世界がこれほど違うという事を多くの方に知っていただきたいです。(宮前図書館作成)

 

 

3月のおすすめ図書

烏に単は似合わない

烏に単は似合わない

阿部智里/著  文藝春秋社

 ファンタジー小説はお好きですか?

 ファンタジーという言葉からイメージする剣や魔法の冒険物語とは違い、本書は平安時代と似た宮廷を舞台にした和風ファンタジーです。人間の姿に変身することができる八咫烏が支配する世界「山内(やまうち)」で有力貴族から選ばれた4人の姫君が宮廷にやってきて、世継ぎとなる若宮の后選びをするところから物語が始まります。

 宮廷には美しい四季の花々が咲き乱れ、季節の行事に沿って姫と周囲の人々が描かれます。4人の姫君たちの恋心、嫉妬、家族からの期待と重圧。そこに描かれる人間模様は驚くほどリアルで、私たちの心に響く切実さに満ちています。

 閉じられた世界である宮中で次々起きる事件と、背後に蠢く派閥争いと陰謀の影。なかなか姿を見せない若宮は何を考えているのでしょう。タイトルの「単は似合わない」とはどういう意味なのでしょうか。ファンタジーが好きな方だけでなく、歴史小説やミステリー、日本の古典がお好きな方もぜひ一度手に取ってみて下さい。(高円寺図書館作成)

 

2月のおすすめ図書

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遺骨と祈り

安田菜津紀/著  産業編集センター

死者をないがしろにする社会が、生きた人間の尊厳を守れるのか?

フォトジャーナリスト安田菜津紀が、福島、沖縄、パレスチナを訪れ、不条理を強いられ生きる人々の姿を追った、6年間の行動と思考の記録。

 原発事故で娘・汐凪さんの捜索を阻まれてきた木村紀夫さん。沖縄で遺骨収集を続け、辺野古基地建設が戦没者をも冒涜しながら推し進められようとすることに抗してきた具志堅隆松さん。具志堅さんが福島県大熊町を訪れ、帰還困難区域で汐凪さんの大腿骨を発見したのは2022年1月のことでした。

 この本は当初、二人の交流を軸に編む予定でした。ところがパレスチナ・ガザ地区での虐殺が起き、二人もその不条理と向き合うことになり、著者が何度も訪れていたパレスチナのストーリーも盛り込まれました。今起きている民族浄化と人間の尊厳を踏みにじるあらゆることに、抗う意思を込めた一冊です。

(柿木図書館作成)

 

1月のおすすめ図書

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「嫌いっ!」の運用

中野信子/著  小学館

「嫌い」は根拠のないネガティヴな感情ではありません。そのなかには、脳が感じる「不快」や「不安」があり、その先には「危険」や「有害」が続きます。つまり「嫌い」という感情は、自分に害を与える可能性が高いものから身を守るための防衛判断なのです。本書では「嫌い」と感じる現象について、脳科学をはじめとする科学的見地に基づいて分析し、この感情を上手に活用する方法を解説しています。「自分を攻撃してくる人が嫌い」という直球への有効な対処法も、脳科学にヒントあり。そのほかに、家族に対する嫌悪感や自己嫌悪との付き合いかた、嫌いなことへの向き合いかたなど、さまざまな種類の「嫌い」に対するアプローチを探っていきます。身近にいる家族ほど嫌悪感が増大しやすい理由も、脳の仕組みを理解すると納得できるでしょう。「嫌い」を知り、自分を知り、人間を知ることが人生を賢く生きていくための手助けになるかもしれません。 (永福図書館作成)

 

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