3月のおすすめ図書

烏に単は似合わない
ファンタジー小説はお好きですか?
ファンタジーという言葉からイメージする剣や魔法の冒険物語とは違い、本書は平安時代と似た宮廷を舞台にした和風ファンタジーです。人間の姿に変身することができる八咫烏が支配する世界「山内(やまうち)」で有力貴族から選ばれた4人の姫君が宮廷にやってきて、世継ぎとなる若宮の后選びをするところから物語が始まります。
宮廷には美しい四季の花々が咲き乱れ、季節の行事に沿って姫と周囲の人々が描かれます。4人の姫君たちの恋心、嫉妬、家族からの期待と重圧。そこに描かれる人間模様は驚くほどリアルで、私たちの心に響く切実さに満ちています。
閉じられた世界である宮中で次々起きる事件と、背後に蠢く派閥争いと陰謀の影。なかなか姿を見せない若宮は何を考えているのでしょう。タイトルの「単は似合わない」とはどういう意味なのでしょうか。ファンタジーが好きな方だけでなく、歴史小説やミステリー、日本の古典がお好きな方もぜひ一度手に取ってみて下さい。(高円寺図書館作成)
2月のおすすめ図書

遺骨と祈り
死者をないがしろにする社会が、生きた人間の尊厳を守れるのか?
フォトジャーナリスト安田菜津紀が、福島、沖縄、パレスチナを訪れ、不条理を強いられ生きる人々の姿を追った、6年間の行動と思考の記録。
原発事故で娘・汐凪さんの捜索を阻まれてきた木村紀夫さん。沖縄で遺骨収集を続け、辺野古基地建設が戦没者をも冒涜しながら推し進められようとすることに抗してきた具志堅隆松さん。具志堅さんが福島県大熊町を訪れ、帰還困難区域で汐凪さんの大腿骨を発見したのは2022年1月のことでした。
この本は当初、二人の交流を軸に編む予定でした。ところがパレスチナ・ガザ地区での虐殺が起き、二人もその不条理と向き合うことになり、著者が何度も訪れていたパレスチナのストーリーも盛り込まれました。今起きている民族浄化と人間の尊厳を踏みにじるあらゆることに、抗う意思を込めた一冊です。
(柿木図書館作成)
1月のおすすめ図書
「嫌いっ!」の運用
「嫌い」は根拠のないネガティヴな感情ではありません。そのなかには、脳が感じる「不快」や「不安」があり、その先には「危険」や「有害」が続きます。つまり「嫌い」という感情は、自分に害を与える可能性が高いものから身を守るための防衛判断なのです。本書では「嫌い」と感じる現象について、脳科学をはじめとする科学的見地に基づいて分析し、この感情を上手に活用する方法を解説しています。「自分を攻撃してくる人が嫌い」という直球への有効な対処法も、脳科学にヒントあり。そのほかに、家族に対する嫌悪感や自己嫌悪との付き合いかた、嫌いなことへの向き合いかたなど、さまざまな種類の「嫌い」に対するアプローチを探っていきます。身近にいる家族ほど嫌悪感が増大しやすい理由も、脳の仕組みを理解すると納得できるでしょう。「嫌い」を知り、自分を知り、人間を知ることが人生を賢く生きていくための手助けになるかもしれません。 (永福図書館作成)