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本の中のすぎなみ 2018年

12月

つなげる力

つなげる力

藤原和博/著  文藝春秋

杉並区立和田中学校は、「私立を越えた公立校」を標榜し、世間が驚くような数々のプロジェクトを提案・実行し、成功してきました。
例えば、進学塾「サピックス」が学校の校舎で放課後授業を行う「夜スペ」。こどもたちが、大人と一緒に社会のさまざまな問題にとりくむ〔よのなか〕科。
そして、現在、全国に設置されつつある「学校支援地域本部」。
プロジェクトを提案・進めたのは、都内では義務教育初の民間人校長として2003年より5年間、杉並区立和田中学校校長を務めた藤原和博氏。
本書では、情報収集力を身に着ける方法として「つなげる」こととは何か・どのようにすべきかを中心に、藤原氏から見た教育現場の問題点やプロジェクトを実行した結果だけではなく、我々の生活・仕事にも使える「気づき」が多く紹介されています。
子どもを持つ親だけではなく、いち社会人が読んでも勉強になる――そんな1冊です。
(阿佐谷図書館)
 

11月

一時停止

一時停止

谷川 俊太郎/著  草思社

日本を代表する詩人で、長年にわたって杉並に住んでいる、谷川俊太郎さんは、詩作以外にも数多くの散文を書いていますが、この本は、1955年から2010年までに書かれた文章を集めた自選散文集です。
この本の中の「一東京人の住・私史」という一章のなかで、谷川さんは、自身の出生や住んだ家のことについて語っていますが、ここでは、子どもの頃見た自宅周辺の風景などにも言及しています。
「いま、かつての春の野には公団住宅が建ち並び、かつての小川はコンクリートで岸を固められ、金網の柵でかこまれている。」と子どもの頃に遊んだ善福寺川周辺の自然を懐かしみ、風景の変化に驚いています。
その他、戦後疎開先の京都から戻ると杉並の自宅が焼け残っていたこと、結婚して同じ敷地内に家を建てたことなども思い出として語られます。また、別の「母校」という章では、谷川さんが戦時中通っていた、五日市街道沿いの旧制中学校での生活のことなども書かれていて、著者と「すぎなみ」というまちとのかかわりを強く感じます。
この本全般としても、日々の生活に関連することが多く書かれているので、一詩人の人生をたどる意味でも、興味深く読める本ではないでしょうか。(西荻図書館作成)

10月

もう一杯だけ飲んで帰ろう。

もう一杯だけ飲んで帰ろう。

角田光代・河野丈洋/著  新潮社

本書は角田光代さん、河野丈洋さんご夫婦が同じ店でお酒を飲んだことをそれぞれの視点で書いたエッセイだ。
 題の「もう一杯だけ飲んで帰ろう。」。皆様は誰かに言ったことや言われたことはあるだろうか。この言葉はきっと、その場が楽しく盛り上がったときに生まれるものだと考える。本書の中で著者の角田さんは、「好きな人とともに酒を飲むことは心底好き、飲みに行こうと飲食店を選ぶ際一番に優先すべきは“食”ではなく“気持ちよく飲め人間の体温が感じられるところ”」であると述べている。
本を開けば、焼き鳥、お好み焼きに鯛めしとおいしそうな料理と酒。かわるがわる綴られる著者のお二人の鮮やかな文章が迎えてくれる。また、当時お二人が杉並区にお住まいだったこともあり区内にある店が多く登場している。これ幸い!あなたもこの本を片手に杉並の町へ繰り出してみてはいかがだろうか。(お酒は20歳になってから。)(成田図書館作成)

9月

歴史のなかの中島飛行機

歴史のなかの中島飛行機

桂木 洋二/著  グランプリ出版

青梅街道に面した桃井三丁目の信号近く、桃井原っぱ公園には今も、「中島飛行機発動機発祥の地」と書かれた記念碑が残されています。
ここには、かつて中島知久平を中心として設立された、中島飛行機株式会社の東京工場が存在しました。中島飛行機株式会社は、大正時代の典型的なベンチャー企業でありながら、財閥企業を上回る規模にまで発展しました。1945年の終戦とともにその波乱に満ちた運命を閉じ、走馬燈の様に消え去ってしまいました。
しかし、中島の成功は、三菱重工業などの航空機メーカーの誕生につながり、その志は確実に後世へと受け継がれています。
飛行機の黎明期から、中島飛行機の設立、戦争との関わり、発展までの経緯をたどる通史的読物です。(宮前図書館作成)

8月

東京23区の地名の由来

東京23区の地名の由来

金子 勤/著  幻冬舎

本書は東京23区の416ヶ所の地名の由来について、著者が誤った説を避けるために各地を訪れ、自分で確かめた研究の成果をまとめたものです。
 地名には由来があります。著者はそれは自然地形に基づくものだと主張します。それゆえに日本各地に似たような地名があるとのことです(例えば「成田」という地名は杉並区だけでなく、栃木県や千葉県などいくつもあります)。また、その土地の歴史も地名の由来に関わっています。従って地名の研究は歴史の探索ということにもなります。
 杉並区については23ヶ所の地名の由来が紹介されています。「桃井」、「天沼」、「浜田山」等の地名がなぜそのようになったのか・・何となく答えを知っている方も本書をお読み下さい。きっと新しい発見があるでしょう。(高円寺図書館作成)

7月

高円寺純情商店街

高円寺純情商店街

ねじめ 正一/著  新潮社

舞台は、昭和30年代の頃の高円寺駅北口にある「純情商店街」です。魚屋、呉服屋、金物店などが軒を連ねる賑やかな通りです。その中の一軒、削り節が評判の乾物屋の一人息子・正一の目を通し、商店街に生きる人々の姿が丹念に描かれています。
この小説が評判となり、高円寺の「北口商店街」が「純情商店街」と呼び名を変えたそうです。

各場面の描写が素晴らしく、例えば、6編からなる中の1編、「6月の蠅取り紙」では、‘乾物屋の光景、6月におけるその日常、さらにはそこに広がる「生活」というものの空気、その生活に対する少年の感受性のかたち’(解説より)まで感じとることができます。
全編を通して、作者がどれほど深く、生まれ育った商店街を愛したかが伝わってきます。
もう一度読みたくなる一冊です。(柿木図書館作成)

6月

本屋、はじめました 新刊書店Title開業の記録

本屋、はじめました 新刊書店Title開業の記録

辻山良雄/著  苦楽堂

2016年1月、荻窪駅から徒歩10分、青梅街道沿いに1軒の書店がオープンしたのをご存知だろうか? 最近では珍しい、個人起業の新刊書店である。この本は大型書店に勤めていた辻山良雄氏が、退職して自身の書店“Title”を開業するまでの記録である。
 読み終えてみると、実はこの本にはいろんな面があることが分かる。例えば大型書店で働いていた頃のエピソードでは、大型書店ならではの苦労や面白さ、さらには業界の内情を垣間見ることができる。また開業までの準備期間中のエピソードでは、書店に限らず個人で起業を目指している人向けにちょっとしたコツのようなものも書かれていたりと、非常に興味深い。そして何より、子どもの頃に読んでいた本やイベントで取り上げた本など、エピソードの合間に本の紹介が出てくるところが面白い。
 この本からは作者が純粋に本が好きで、本を読む空間を大切にしたい気持ちが感じられ、本が好き、本屋が好きという人にはぜひ読んでもらいたい1冊である。そしてお店にも一度足を運んでみてはいかがだろうか。(永福図書館作成)

5月

むーさんの自転車

むーさんの自転車

ねじめ 正一/著  中央公論新社

 直木賞受賞作品「高円寺純情商店街」から30年、高円寺で育った作者が、今度は時代を平成に移して、作者の息子世代からみた高円寺の商店街を描く。
 表題にもなっている登場人物の“むーさん”は、折々に小林一茶の俳句を口ずさむ。自身のように頑丈な自転車にまたがり、情が厚く、がさつなようだが教養があり、主人公の高校生が「カッコいい」とあこがれている。
 “むーさん”は古き良き昭和の象徴なのだ。
 作者の父、ねじめ正也も俳人であり、作者自身も小林一茶が好きと公言しているが、ひょっとすると“むーさん”は、昭和の高円寺をみてきた作者自身や、作者の父親へのあこがれからうまれたキャラクターなのかもしれない。
 そんな強烈な個性をもつ“むーさん”を中心に、どこかなつかしい人間関係が日常を作り、物語をはこんでいく。(今川図書館作成)

4月

夢声戦中日記

夢声戦中日記

徳川夢声/著  中央公論新社

杉並区内、荻窪駅の近くに徳川夢声という話術の達人が住んでいたことをご存知でしょうか。
 映画に音が無かったころ、外国映画の封切館として知られた赤坂葵館で、映画説明者(活動写真弁士)として頭角をあらわした人、本名は福原駿雄です。弁士のあと、漫談家、ユーモア作家、俳優。活躍の場も映画界や舞台から、雑誌、ラジオ、テレビへと広がり、一世を風靡した元祖マルチタレント、昭和初期を代表する芸能人です。
 その夢声の、戦争中も働き盛りであった日々の日記の抜粋、『夢声戦中日記』をご紹介します。東京が空襲を受けた時の杉並は、どのようであったかを読むことができます。
 中央図書館では、夢声の音源付きの資料も、阿川佐和子編集の夢声対談集も所蔵しています。対談相手の名前を見ているだけでも興味が引かれる内容です。そちらもどうぞ、ご利用ください。
(中央図書館作成)

3月

釜寺のひみつ

釜寺のひみつ

釜寺絵本プロジェクト/制作  杉並区立方南図書館

屋根の上に大きな釜があるお寺をご存知ですか。杉並区方南町にある東運寺。通称「釜寺」です。湯を沸かしたりごはんを炊いたりする調理器具。そんなお釜がなぜ屋根の上にあるのでしょうか? そのひみつを解き明かします。
 
「ぼくは、釜。・・」とはじまる物語。
この地に語り継がれてきたストーリーが、地元小学生の絵によってひとつの「えほん」になりました。
また、釜寺と方南(和田村)の歴史も掘り下げており、こどもから大人まで幅広い年代が楽しめます。
各ページの背景をよく見ると、様々な色の和紙が使われているのがわかります。この和紙は杉並区和泉にある、東京都に唯一の和紙工房で作られました。
このような地域の人々の力によって生まれた本。身近な土地の歴史や、地域の営みにふれることのできる1冊です。(方南図書館作成)

2月

高円寺古本酒場ものがたり

高円寺古本酒場ものがたり

狩野 俊/著  晶文社

杉並区高円寺にある小さな酒場「古本酒場コクテイル」のものがたり。今ではよく見かける読書と食事を一緒に楽しむ「ブックカフェ」が流行りだす前からあった「古本と酒を楽しめる酒場」。30人も入ることができない小さな店は、昼は古本の買い出しで開いておらず、夜の営業のみ。一日売上2万円・・・。ただ「古本と酒が好き」という思いから26歳で国立に店を持った作者のノンフィクション作品。
その後、杉並に移転。作者のおおらかな人柄に引き寄せられるように訪れる個性豊かな客人たち。老老介護を実践している方。格闘技の話を延々とし続ける3人組。なぜか、小学生に酒の注文をするおばさんなどなど、酒場ならでは?の常連客が狭い店内を沸かせている。彼らと作者は、古本と酒によって不思議なつながりが広がる。読み終わって、訳もなく昭和時代感満載の店に行ってみたくなった。(高井戸図書館作成)

1月

東京考現学図鑑

東京考現学図鑑

今 和次郎/原著 吉田 謙吉/原著 泉 麻人/編著  学研パブリッシング

大正の終わりから昭和の初めにかけて、東京の各所で「考現学」なるユニークな街頭・風俗の調査研究に励む人たちがいました。銀座カフェー女給の服装、浅草の露店、新宿デパートマダムを尾行、通行人の階層推理といった、その時代の風景と人々のリアルな姿を記録する試みです。
この本は、生活の変容をありのままに記録し研究する「考現学」の提唱者、今和次郎氏と吉田謙吉氏を中心とするグループが残した調査資料の中から、東京の街並みを取り上げたものを抜粋しました。コラムニストの泉麻人氏が現在の視点から解説を加えていることで、ひと味違った東京案内本として楽しめます。
その中で、1925年(大正14年)に高円寺と阿佐ヶ谷で行われた、「郊外風俗雑景」と題する調査が紹介されています。関東大震災後に都心のベッドタウンとして急速に発展する、東京郊外の実態を探索することが目的でした。通行人観察に始まり、日本住宅と文化住宅の割合、駅前商店街の店舗構成、東京行中央線車内の様子、道を往く商人や町中の看板、少女の髪型、さらには出会った犬の種類まで。細密な統計とスケッチの数々からは、高円寺駅と阿佐ヶ谷駅が開業してまだ3年の、生まれて間もない郊外都市の空気が伝わってきます。
デジカメもパソコンもない90年以上も前に、ごくアナログな方法で採集されたこれらの資料は、当時の杉並を知るための手がかりの一つとなることでしょう。(下井草図書館作成)

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