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本の中のすぎなみ 2024年

7月

暗渠マニアック!

暗渠マニアック!

吉村生 髙山英男/著  柏書房

暗渠とは「地下に埋没したり、覆ったりして見えなくなっている水路」のこと。本書では水のある無しに関わらず、以前川や水路のあった場所を暗渠としている。
著者の一人である吉村氏は、一つの暗渠について歴史を中心に、様々な角度からじっくり掘り下げていくタイプ。
髙山氏はたくさんの暗渠を並べて俯瞰し、わずかな違和感も捉える分析タイプ。
一つのテーマで二種類の暗渠の姿を対比しながら説明している。
取り分け桃園川は、吉村氏の暗渠探しのきっかけになったことからよく登場する。阿佐ヶ谷駅付近にある桃園川、西荻窪駅付近から始まる松庵川を擬人化し、妹や隣家の少年のように親しみを持ちながら調べている。また、映画に登場する過去の桃園川を考察したり、桃園川と善福寺川の関係性や歴史も語られている。川と絡んだローカル情報や心温まるエピソードに、好奇心を掻き立てられる。
見えない水辺を歩き、新しい景色を発見し、埋め込まれたせせらぎを感じながら、暗渠のマニアックな魅力を教えてくれる一冊。
(成田図書館作成)

6月

すぎまるがやってきた 杉並区まちづくり推進課の挑戦

すぎまるがやってきた 杉並区まちづくり推進課の挑戦

木村 邦夫  ジャパンマシニスト社

子どもの頃、毎年の「知る区ロードの日」が楽しみだった。
「知る区ロード」とは防災やまちづくりなどの観点から杉並区内に設定されたルートである。
「知る区ロードの日」には当日だけ設置されたチェックポイント巡りや、集めるとシンボルキャラクター「すぎまる」のイラストになるカード交換を参加者「知る区ロード探検隊」員同士で楽しむイベントが開催されていた。
本書では「知る区ロード探検隊」の誕生から継続までが主催者の視点から語られている。
参加当時から今日に至るまで「知る区ロード」がなぜ存在しているのか、イベントの目的は、なんて考えたことがなかった。
しかし振り返ると自分は「知る区ロード」を歩くことによって区内の名所旧跡を知り、イベントを通じて区に親しみを持つという主催者の狙いに見事にはまっていた。悔しい!
かつての探検隊員たちにも、この心地良い悔しさをぜひ味わってもらいたい。
(宮前図書館作成)

5月

文学する中央線沿線 小説に描かれたまちを歩く

文学する中央線沿線 小説に描かれたまちを歩く

矢野 勝巳  ぶんしん出版

JR中央線に関する本はたくさんありますが、本書は中央線沿線を描いた文学作品を紹介する初めてのものです。著者が描かれたまちを歩きその実体験に基づいて作品を読み解きながら沿線について語っています。また著者が撮った写真が豊富に使われていて大変参考になります。
さて、杉並区については「高円寺・阿佐ヶ谷の文学風景」と「荻窪・西荻窪の文学風景」の2つの章で取り上げられています。その中で1つの例を挙げると、村上春樹の有名な小説「1Q84」の中で高円寺にある児童公園が出てきますが(主人公の一人が住んでいるまちが高円寺)、具体的にどの公園であるかを著者が推測します(答えは本書をお読みください)。 
著者は「文学でしか表現出来ない地域の風景」があると言います。本書をきっかけに紹介された本を読み「文学する中央線沿線」をぜひ体験してみてください。(高円寺図書館作成)
 

4月

荻窪ラプソディー

荻窪ラプソディー

畑中 良輔  音楽之友社

 日本声楽界の重鎮として、長く活躍した「ブル先生」こと畑中良輔の生前最期の3年あまりの活力溢れるエッセイをまとめた一冊で、著者自らの日々の生活の中から、「今の日本」のありようが活写されている。オペラ批評、社会時評、旅行記、グルメ、闘病記、追悼記…形はさまざまだが、いずれも的確な筆致で、日ごとに抱く感慨が綴られている。
 高齢ゆえか「闘病記」の部分に割かれるページは多いが、自らの姿を笑いの種としたようなその記述は朗らかさに彩られており、「老い」の切なさとともに、「美しく老いること」の素晴らしさを、読む人にほのぼのと語りかけてくる。
 表題にある「荻窪」には60年住み続けた。モーツァルト歌手として第一線で活躍し、「魔笛」「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「コジ・ファン・トウッテ」等の日本初演の主役を担うなどオペラ上演史に輝かしい足跡を残し、2012年5月、90歳で没した。(柿木図書館作成)

3月

小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常

小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常

辻山良雄  幻冬舎

大手書店に長年勤務していた著者が、独立して杉並区桃井に構えた書店“Title”のようす、
および本を通して考える日常についてのエッセイ。
築70年の古民家をリニューアルした同店は、まさに「通いたくなる本屋さん」!
<新刊販売><カフェ><ギャラリー>の3本柱で、多くの人脈を生かしながら、店主と妻の二人三脚で切り盛り。
仕入れる本は取次業者を通さず、各出版社に新刊リストを送付してもらい決めるセレクトスタイル、
本をきれいに見せるためにPOPは置かない、月に3~4回はトークイベントを開催する、など書店が本来あるべき姿、
いかに多くの人に足を運んでもらうかを追求しました。
そんな店主は身のまわりや、社会の変化をどのようにとらえているのでしょうか。
桃井という土地、自らの店、本に多くの時間を割いてきたその半生がクロスして映し出す光景をお楽しみください。
近年減少の一途をたどる書店に新規参入をするのは容易なことではありませんが、
“Title”のような、小規模でも個性で勝負する店舗が増え、街が出版が活気づくことを願って止みません。
 
(永福図書館作成)
 

2月

地下水路の夜

地下水路の夜

阿刀田 高  新潮社

 杉並区にゆかりの作家で、エッセイ・古典教養入門書、そしてなんといっても数々の傑作短編を世に送り出してこられた阿刀田高さん。
 今回ご紹介するのも、12の作品から成る短編集です。
 
 死んだ孫娘のために、お通夜の席で、三つの物語の朗読を頼まれた主人公の女性。
 一つは故人が好きだった話、一つは依頼者である老人が好きだった話、そして最後に、依頼者から特別に用意されたある物語を読みあげると……『朗読者』。
 桜の花に包まれ、夢うつつの中で思い出した5歳の頃の記憶。
 先生が聞かせてくれた、「あべこべの国」のお話。
 その国では、お日様は西から昇り東へ沈む、人々は夜働き昼に眠る、でも、いちばんの違いは年の数え方でした……。
 幸せな家庭に不幸が忍び寄る予感を感じさせる『花酔い』。
 
 物語の主人公とともに、ひと時、奇妙で不思議な世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか。   
 
 
                                                                中央図書館作成

1月

夢幻花

夢幻花

東野圭吾  PHP研究所

かつてこの世にない新しい花の研究をしていた西荻窪に住む老人、秋山周治が殺された。第一発見者は高円寺に住む孫の梨乃。梨乃は祖父の家から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、花の写真をブログに載せると蒲生要介という人物が接触してきた。要介は植物に関する情報を集める企業の代表と名乗り、ブログは閉鎖した方が良いと言ってきた。梨乃は要介の助言を一旦断り後日もらった名刺の住所を訪ねると、そこで要介の弟、蒼太と出会う。蒼太と話すうち、要介は本当は警視庁の役人で、問題の黄色い花はアサガオにソックリだと判明する。江戸時代にはあったと記録があるものの今は存在が確認されていない幻の黄色いアサガオ。警視庁の役人がどうして黄色のアサガオの情報を調べるのか。梨乃と蒼太は黄色のアサガオの謎を追い始める。一方、西荻窪署の刑事、早瀬も別の思いを胸に殺人事件の捜査にのりだし…。秋山周治を狙った犯人は、そして黄色いアサガオの謎は…。(今川図書館作成)

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