[ここから本文です。]
おすすめ図書 2012年
12月
二人が睦まじくいるためには
吉野弘/著 童話屋
11月
絵の言葉
小松左京、高階秀爾/著 青土社
美術館で見る絵画や彫刻も、もとは私たちの日々の営みから生まれてきたものだった、と思い出させてくれる一冊。ラスコーの壁画からキリスト教美術、曼荼羅から歌舞伎まで、今やどんなに日常とかけ離れて見える芸術だって、遡れば、何らかの祈りやメッセージを込めて誰かが刻んだ「言葉」でした。SF作家の小松左京が打ち出す大胆な問いと、美術史家の高階秀爾が挙げる多様な裏付けとで織りなされる対話を小気味よく読んでいくうちに、いつのまにか絵の見方が変わっていることに気付きます。「フランス人は実は絵がヘタ?」「チンパンジーは夕日を見て感動する?」など、面白い話も多数。芸術の秋、この本を片手に、気になっていた美術展に足を運んでみるのもいいかもしれません。
10月
エネルギー問題に効くデザイン
永井一史+30人の若手デザイナーたち/著 誠文同新光社
この本を開くと、一見縁がなさそうな「エネルギー問題」と「デザイン」という組み合わせの意味が、すっと腑に落ちるでしょう。たとえば、思わずこまめに消したくなる照明のスイッチ、エネルギーの出所について考えさせるコンセント、子どもの「元気」を「電気」に変える公園……。これらはすべて、若手デザイナーからの熱い提案です。デザインは、「芸術(美)」と「技術(知)」の交差点にあり、私たちの暮らしを彩ってきました。震災以後、いよいよ差し迫るエネルギー問題を自分のこととして捉え、新しいライフスタイルを目指すために、ちょっとしたデザインが背中を押してくれることがある。そう気づかせ、自分も何かしてみたい、と思わせる一冊です。
[ここまでが本文です。]